第4類(引火性液体)の火災は、酸素を断つ窒息消火が基本です。水をかけると、水より軽い危険物が水に浮いて燃え広がるおそれがあるため、棒状の水は使えません。乙4では、消火剤ごとに「どの火災に使えるか」「主な消火効果は何か」を問う問題が、物理・化学と性質・消火の両方の科目で出ます。
消火の4要素
燃焼には「可燃物」「酸素供給源」「点火源(熱)」の3つがそろう必要があります。逆に、どれか1つを取り除けば火は消えます。これに「燃焼の連鎖反応を止める」方法を加えたものが、消火の4要素です。
| 消火の方法 | 何を断つか | 例 |
|---|---|---|
| 除去消火 | 可燃物 | ガスの元栓を閉める、ろうそくの炎を吹き消す |
| 窒息消火 | 酸素 | 泡や二酸化炭素で覆う、ふたをする |
| 冷却消火 | 熱 | 水をかけて温度を下げる |
| 抑制(負触媒)消火 | 燃焼の連鎖反応 | ハロゲン化物・粉末の消火剤 |
ろうそくを吹き消すのは、燃えている蒸気を吹き飛ばす除去消火です。窒息消火と間違えやすいので注意しましょう。一般に、空気中の酸素濃度を約14〜15%以下に下げると燃焼は続かなくなるとされます。
消火剤ごとの適応表
火災は、木材や紙などの普通火災、油の火災、電気設備の火災に分けて考えます。
| 消火剤 | 主な効果 | 普通火災 | 油火災 | 電気火災 |
|---|---|---|---|---|
| 水(棒状) | 冷却 | ○ | × | × |
| 水(霧状) | 冷却 | ○ | × | ○ |
| 強化液(棒状) | 冷却 | ○ | × | × |
| 強化液(霧状) | 冷却・抑制 | ○ | ○ | ○ |
| 泡 | 窒息・冷却 | ○ | ○ | × |
| 二酸化炭素 | 窒息 | × | ○ | ○ |
| ハロゲン化物 | 抑制・窒息 | × | ○ | ○ |
| 粉末(りん酸塩類) | 抑制・窒息 | ○ | ○ | ○ |
電気火災に使えないのは、電気を通して感電のおそれがある「棒状の水・棒状の強化液・泡」です。霧状にすると水の粒が細かく分かれて電気が伝わりにくくなるので、電気火災にも使えます。
第4類の火災に棒状の水がだめな理由
第4類の危険物の多くは、水より軽く水に溶けません。燃えている油に棒状の水をかけると、
- 油が水の上に浮いたまま燃え続ける
- 水と一緒に流れて、火が広い範囲に広がる
といったことが起きます。そのため、第4類の火災には泡・二酸化炭素・ハロゲン化物・粉末、霧状の強化液など、窒息や抑制の効果がある消火剤を使います。
水溶性の危険物には耐アルコール泡
アルコール類・アセトン・酢酸などの水溶性の危険物に普通の泡をかけると、泡が液体に溶けて壊れ、液面を覆えません。そこで、泡が消えにくい水溶性液体用泡消火剤(耐アルコール泡)を使います。どの物質が水溶性かは、第4類の品名の覚え方の表で確認できます。
消火設備の区分(法令)
法令の科目では、製造所等に置く消火設備の区分も出題されます。消火設備は第1種から第5種に分かれています。
| 区分 | 主なもの |
|---|---|
| 第1種 | 屋内消火栓設備、屋外消火栓設備 |
| 第2種 | スプリンクラー設備 |
| 第3種 | 水蒸気・水噴霧・泡・不活性ガス・ハロゲン化物・粉末の消火設備 |
| 第4種 | 大型消火器 |
| 第5種 | 小型消火器、水バケツ、乾燥砂など |
「大型が第4種、小型が第5種」と、消火器の大きさで区分が分かれる点がよく問われます。
二酸化炭素消火剤の注意点
二酸化炭素は電気を通さず、消火後に汚れが残らないのが長所です。ただし、閉め切った部屋で大量に放出すると酸素が足りなくなり、人が窒息するおそれがあります。「二酸化炭素は人体に無害なので、密閉した室内で大量に使っても安全」という選択肢は誤りです。
例題で確認しよう
例題1 ガソリンの火災の消火方法として、適切でないものはどれか。 (1)泡消火剤 (2)二酸化炭素消火剤 (3)粉末消火剤 (4)ハロゲン化物消火剤 (5)棒状の水
答えは(5)です。
例題2 電気設備の火災に使用するのに適さない消火剤はどれか。 (1)二酸化炭素 (2)ハロゲン化物 (3)粉末(りん酸塩類) (4)霧状の強化液 (5)泡
答えは(5)です。泡は水を含み電気を通すため、感電のおそれがあります。
まとめ
- 消火の4要素は除去・窒息・冷却・抑制。ろうそくを吹き消すのは除去消火
- 第4類の火災は窒息消火が基本。棒状の水は燃え広がるので使わない
- 電気火災に×なのは、棒状の水・棒状の強化液・泡
- 水溶性の危険物には水溶性液体用(耐アルコール)泡
- 二酸化炭素は密閉空間での窒息に注意
燃焼のしくみは引火点・発火点・燃焼点の違いで解説しています。消火剤の表は第4類の暗記表にもあります。物理・化学の一問一答と性質・消火の一問一答で確認しましょう。