引火点は「火を近づければ燃える最低の液温」、発火点は「火を近づけなくても自然に燃え出す最低の温度」、燃焼点は「燃え続ける最低の液温」です。3つとも「燃え始める温度」に見えるため、乙4では言葉を入れ替えたひっかけが定番です。この記事では、3つの違いを数値の例と一緒に整理します。
3つの温度を表で比べる
| 用語 | 意味 | 点火源 | 目安の高さ |
|---|---|---|---|
| 引火点 | 点火したとき燃え出すのに十分な濃度の蒸気を、液面上に発生する最低の液温 | 必要 | いちばん低い |
| 燃焼点 | 燃焼が続くのに十分な蒸気を発生する最低の液温 | 必要 | 引火点より数℃高い |
| 発火点 | 点火源を与えなくても、物質が自ら燃え出す最低の温度 | 不要 | いちばん高い |
一般に、高さは「引火点 < 燃焼点 < 発火点」の順になります。引火点で火がついても、すぐ消えてしまうことがあります。燃え続けるには、もう少し温度が高く、蒸気が次々に出てくる状態(燃焼点)が必要です。
引火点は「蒸気の濃さ」で決まる
液体そのものが燃えているように見えても、実際に燃えているのは液面から出た蒸気です。蒸気と空気の混ざった気体は、蒸気の濃さが一定の範囲(燃焼範囲)にあるときだけ燃えます。
引火点とは、液面近くの蒸気の濃さが、ちょうど燃焼範囲の下限値に達する液温のことです。液温が引火点より低いと蒸気が薄すぎて、火を近づけても燃えません。
ここから、次の2つのことがいえます。
- 引火点が低い物質ほど、低い温度でも燃える蒸気が出るので危険
- 引火点は「気温」ではなく「液体の温度」で考える
たとえば引火点が40℃以上の灯油は、ふつうの室温ではまず引火しません。一方、引火点が-40℃以下のガソリンは、真冬でも引火する蒸気を出しています。
主な物質の数値の例
| 物質 | 引火点 | 発火点 |
|---|---|---|
| ガソリン | -40℃以下 | 約300℃ |
| 灯油 | 40℃以上 | 約220℃ |
| 軽油 | 45℃以上 | 約220℃ |
| エタノール | 約13℃ | 約363℃ |
| 二硫化炭素 | -30℃以下 | 約90℃ |
ガソリンは引火点がとても低い一方、発火点は灯油や軽油より高い、という逆転が問われることがあります。「引火しやすい=発火しやすい」ではない点に注意しましょう。二硫化炭素は発火点が約90℃と特に低く、高温の蒸気配管にふれるだけで発火するおそれがあります。物質ごとの数値は第4類の暗記表にもまとめています。
燃焼範囲と危険性
引火点とセットで覚えたいのが燃焼範囲(爆発範囲)です。燃焼範囲は、空気中で燃えることができる蒸気の濃さの範囲で、たとえばガソリンはおおむね1.4〜7.6vol%です。
- 下限値が低いほど、少しの蒸気の漏れでも燃える範囲に入るので危険
- 範囲が広いほど、燃える条件がそろいやすいので危険
- 上限値を超えて濃すぎる蒸気は、酸素が足りず、そのままでは燃えない
「燃焼範囲が狭いほど危険」という選択肢は誤りです。
霧状だと引火点より低くても燃える
灯油を霧状に吹き出したり、布にしみ込ませたりすると、引火点より低い液温でも火がつくことがあります。液体の表面積が大きくなり、空気と触れる部分が増えて、蒸気が出やすくなるためです。「引火点より低い温度なら、どんな状態でも絶対に燃えない」という選択肢は誤りです。
例題で確認しよう
例題1 引火点の説明として、正しいものはどれか。 (1)点火源がなくても自ら燃え出す最低の温度 (2)点火したとき燃え出すのに十分な濃度の蒸気を液面上に発生する最低の液温 (3)燃焼が続く最低の液温 (4)液体が沸騰する温度 (5)蒸気の濃さが燃焼範囲の上限値に達する液温
答えは(2)です。(1)は発火点、(3)は燃焼点です。(5)は「上限値」ではなく「下限値」が正しい形です。
例題2 引火点が40℃の液体について、正しいものはどれか。 (1)液温が40℃になると自然に燃え出す (2)気温が40℃にならなければ引火しない (3)液温が40℃以上なら、点火源を近づけると引火する (4)霧状にしても、40℃未満なら決して燃えない (5)液温が40℃になると沸騰する
答えは(3)です。
まとめ
- 引火点は「点火すれば燃える」、発火点は「点火しなくても燃える」、燃焼点は「燃え続ける」最低温度
- 高さはふつう「引火点 < 燃焼点 < 発火点」
- 引火点は、蒸気の濃さが燃焼範囲の下限値に達する液温。気温ではなく液温で考える
- 霧状・布にしみた状態では、引火点より低くても燃えることがある
燃焼を止める考え方は消火剤の使い分け、蒸気に火がつく原因の1つは静電気の問題の解き方で解説しています。物理・化学の一問一答で確認しましょう。